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hope ◆UcWYhusQhw 雨が降っている。 ただ。 ただ絶え間なく。 僕がいる世界を隔絶しているかの如く雨は降り。 僕の見る世界はとても虚ろで儚く。 そう、僕は独りだった。 それでよかった。 僕は何も出来なかった。 シズルも救う事も。 哀しみの連鎖を止める事も。 そして ユイコを救えなかった…… 僕は何をしたかったのだろう? 大切な人達を裏切り続けて。 でもその結果がこれだ。 ねえユイコ? 君は僕を認めて傍に居続けてくれた。 でも僕はこんなにもちっぽけで愚かだ。 そして君を守りきることができなかった。 君は人であるのに。 教えてあげたかった。 知ってほしかった。 でもそれはもう無理な事で。 ただ ただ無力で。 僕は。 僕は。 ああ。 ああ。 僕はいらない。 この世界にはきっと。 いらないんだ。 そう思う事でしか。 ユイコ。 君にできる事がそれしかないと思うから。 アル。 今の僕を見て君はどう思うかな? わからないや。 僕には。 ああ。 無理だと思っても。 君の声を聞きたい。 アリエッタ 僕は…… 「……アルちゃん」 え? 今なんて? アル? 聞き間違いだろう。 でもしっかり聞こえてきた。 もう一度僕の耳に。 アルと。 僕はもう動けないと思ったのに。 その声に向かって駆け出していた。 何かに縋る様に。 必死に。 必死に。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「アルちゃん、本当に双七君達から離れてよかったの?」 「ああ、連絡を取り合う約束もしてあるし大丈夫であろう。あそこに固まっていても仕方あるまい」 「そうだけど……」 「それに……あの棗恭介……どこがおかしい……」 「恭介君が?」 「……いや杞憂であろう。汝が気にする事でもない」 あの後わたしたちは双七君達とさらに詳しく情報交換した。 千羽さんのことを知っていて今はわたしを探してるらしい。 早く会えるといいな。 細かいことを教えあった後アルちゃんが双七君達とはなれて行動することを伝えた。 一緒に行動しようと双七君、トルタちゃんはいったけど恭介君はその行動を了承した。 ただし適宜携帯電話で連絡をとり合うにと。 私たちは尾花ちゃんを探さないといけなかったし島の南部を捜索する事になった。 そしてアルちゃんが恭介君達の傷を治した後出発して今は海岸あたりにいる。 「桂、汝の右腕、慣れて来たかの?」 「……うん。だってサクヤさんの腕だもん」 「……そうか」 移植したサクヤさんの腕。 まだそんなに時間は経ってないけどもう前から使ってたような感覚に陥る。 愛してる人の腕だからだろうか? すごくロマンチックみたいな事だけどそう思う。 うん大丈夫。 サクヤさんはここにいる。 わたしは立っていられる。 だから大丈夫。 頑張って行こう。 「……ん?」 「どうしたの? アルちゃん?」 「……いや、濃い……凄く濃い魔力を感じるのだ」 「魔力?」 「ああ、多くはないが密度が凄まじく濃い……珍しいこれほどの物は……妾も滅多には見んぞ」 アルちゃんは珍しく顔をキョロキョロさせその魔力のありかを探す。 そして導かれるかのように歩き出した。 わたしはそれに置いていかれない様に慌てて付いて行く。 そして辿り着いたのは何かのホール。 そこにはこう書いてあった。 『方舟』と。 なんだろう方舟って? 何か意味があるのだろうか? アルちゃんは顔を挙げでも何処か難しそうな顔をして 「ここじゃ……しかし……」 「どうしたの? アルちゃん」 「……確かに濃いのだが……何処か……なんというか説明が上手くいかんが『暗い』のだ」 「暗い? どういう意味? アルちゃん?」 「それは……」 「アル?……アリエッタ?」 その時、わたしの質問をさえぎるように男の声が聞こえた。 その方舟から出てきた男の人の顔は何処か泣きそうな顔をしていた。 あれ? こんな顔何処かできいたような? 「今、アルっていったけどアリエッタ? でもいない……」 「汝、妾もアルだ。妾こそアル・アジフなり!」 「そう……アリエッタはいないのか……そうだ……そうに決まってるか」 「って無視をするのでない!」 あれ? アリエッタ? 何処かで聞いたような? あれは…… 『へえ アルというんだ。私の姉もアルというのよ。アリエッタ。愛称でアル』 トルタちゃんから聞いた名前。 そしてそのアリエッタという人と一緒にいわれてた名前 『姉さんとクリス……それが私の大切な人達の名前。ずっと大切にしていきたいな……』 そういってたからもしかしてこの男の人が? 深い緑の目。 そうだ間違いない 「すいません……もしかしてクリスって人ですか?」 「……そうだけど?」 「よかった……トルタちゃんが探してたんです」 「トルタ……!? 君トルタを見たの!?」 クリス君が焦ったように身を乗り出す。 やはり気になっていたようだ。 「はい……さっきまで一緒にいました」 「トルタは無事?」 「はい。大丈夫です」 「……よかった」 彼は安堵し溜め息をついた。 私はそのままトルタちゃんについて詳しい事を伝えようとするが 「……雨が酷い……中で話そう」 「……え!? 雨!?」 「振ってるじゃないか……前も見えないぐらいに」 雨が降ってる。 そうクリス君は言った。 雨なんか降っていないのに。 蒼く空が澄み渡っているというのに。 でも……私は彼女から少しだけ話しを聞いていた。 だから 「ちょっと待っててください……アルちゃん!」 「なんじゃ……こら! 引っ張るでない!」 「……?」 私はアルちゃんを近くに寄せひそひそとクリス君に気付かれないように話し始めた。 「あのトルタちゃんから聞いたんだけど……」 「ああ、雨が降ってるという幻覚を一時期みてたそうじゃな……どうやらまた再発したようじゃ」 「……どうして」 「……わからん。でもあの濃い魔力。あれは汝のものだった。もしかしたらだか何か呪いのようなものをかけられているのかもしれん」 「……なんでだろう」 「わからんがとりあえずはそれを追求してはならん。とりあえず汝にあわせよう」 「わかったよ」 そう、わたしたちは結論付けクリス君についていき方舟の中に入っていった。 空は何も代わることが無く。 蒼く。 蒼く澄みわたっていた。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「……そっか。トルタはもうそういう人を見つけられてたんだ」 クリス君が呟く。 わたしたちはただ押し黙るしかない。 あの後わたし達は彼と情報を交換をした。 そして勿論トルタちゃんの事も。 双七君から聞いたトルタちゃんと恭介君が恋人だってことも。 でも恭介君はクリス君は知らなかった。 だからここで、出逢って恋人同士になったんだと思う。 ……早いなあ。 「うん……それでいいんだ。トルタが幸せなら……」 クリス君が自問するように呟く。 それが正しい。 それが最もいいんだと。 自分に刻み付けるように。 ただ。 ただ。 繰り返した。 「僕は……なにをしてるんだろうな……本当……ねえ……ユイコ」 クリス君が呟く。 ユイコ。 それは彼がずっと一緒に行動してきた女の人らしい。 彼は楽しそうに。 また懐かしむように。 彼女といた記憶を話した。 でも。 その彼女はもういない。 亡くなったらしいのだ。 クリス君は繰り返した。 救えなかった。 ただ、救えなかったとそう繰り返した。 後悔をだけを口にする。 「クリス君……」 わたしはどうしようかとまよっていた。 彼は死に別れていたからずっとここにいたらしい。 ずっとずっとその死に悔やみながら。 ただ落ち込んでいた。 でも。 そんなことユイコさんって人は望まないはず。 そんなのクリス君だってわかってるはず。 「僕は最悪な人間だ……色々な人のことを思って……」 彼が頭を抱える。 駄目。 心を闇に支配されちゃいけないよ。 私がそうだった様に。 「クリス……汝にとって今最も思っているものは誰だ?」 「……え?」 壁に全身を傾け腕を組んでいたアルちゃんが口を開く。 アルちゃんもわかってるんだ。 このままじゃいけないって。 例えあったばっかりの人でも。 心が囚われてる人をほおっておく事なんかできないのだから。 それにトルタちゃんに頼まれた。 『クリスに会ったらよろしくね……クリス一人だったら何にも出来ないんだから』 懐かしむように笑顔でそうお願いされた。 だから約束は守らなきゃ。 アルちゃんもわかってる。 「妾は何度も主が変わった……でもその時主に対して妾は尽くしてやったきた。最も前の主も忘れているわけではない、妾の心に確かに残っておる」 アルはこっちを一回向く。 アルちゃん……あの時は有難う。 「クリスよ……汝はどうなのだ。ユイコなる者を失った。アリエッタという者も思っている。しかし今汝がもっとも思ってるものは誰じゃ? その者の為に動かねばならぬだろう……妾が言えるのはそれまでじゃ」 そう言い切ってアルちゃんは目を瞑った。 「僕は……僕は……」 彼は自問して自問し続けて。 そして 「誰か……とか今は決められない……決めるべきじゃない」 でも、と区切って。 「今、この瞬間はユイコ……救えなかった……彼女の事を思いたい」 そう言い切って。 彼の目から涙が流れ始めた。 その涙は止まる事がなく。 ただ。 ただ。 泣き続けた。 「僕は……僕は!……あぁぁああぁああああ」 彼女のことを思うように。 必死に悔やむように。 これで大丈夫かな? そう思ったときだった。 「じゃあ僕はどうすればいいのだろうか?……彼女の為に……わからない」 彼は再び心の闇に埋もれようとした。 彼女を救えなかった後悔から逃げようとして。 「このままでいたほうが……いい……僕はこのまま朽ち果てた方が……」 体が。 心が。 動いた。 「そんな事、言っちゃだめだよ! 絶対!」 私もそうだった。 サクヤさんの死に。 でも。 でも。 今は違うんだ。 きっとそう。 クリス君が言ったユイコさん。 彼女はそれを望まない。 絶対。 彼女のことは分からないけど言い切れる。 大切な人の為に自分が死んだから死んだ方がいいなんて絶対思わない! なら望む事は……? そう…… 「ユイコさんは今のクリスさんを望まないよ! クリスさん! ユイコさんの望む事をしようよ!」 きっと。 きっと。 彼女が望む事をするのを喜ぶのだから。 私はサクヤさんに護られた。 だからその分まで生きたい。 そう思えたから。 「……ユイコは僕に何を望むのだろうか」 「……知らないよ、そんなの……でもここで閉じこもってることを望む?」 ユイコさんがどう思ってるなんて誰も分からない。 でもそれでもここで閉じこもってる事を彼女は望まない。 絶対に。 でも彼は言ってはいけない言葉をつむぐ。 「生きてていいんだろうか……」 動いた。 手が。 サクヤさんの腕が。 初めて会った人なのに。 でも! 絶対! 生きてほしい! それは絶対皆望むに決まってる! しんでほしいなんか絶対思わないから! クリス君の目は少し潤んで虚空を向いた。 彼はどう思う? ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「ユイコさんは今のクリスさんを望まないよ! クリスさん! ユイコさんの望む事をしようよ!」 彼女の声が強く響く。 僕は今はユイコの事を思おうと思った。 楽しい時間をくれた彼女に。 常に支えてくれた。 でも何をすればいいかなんて思いつく訳がなかった。 朽ち果てたいと思う。 それをケイは否定した。 何がいいのだろうか? わからない。 何が正しくて、何がいいのか。 ユイコは何を望むのだろうか。 ユイコは僕に何を…… ―君を信じる―― ユイコ、君は僕を信じてくれた。 でもその結果がこの有様だ。 それでも。 それでも君は僕を信じてくれたのだろうか。 この僕を。 哀しみの連鎖が続いてく。 「……ユイコは僕に何を望むのだろうか」 「……知らないよ、そんなの……でもここで閉じこもってることを望む?」 どうなんだろうか? 僕は……何をしたいんだ? やはり僕は…… 考えてはならない。 最もいけない事を思う。 「生きてていいんだろうか……」 バシッ! え? 乾いた音が響く。 目の前には不恰好な腕を振るうケイ。 「当たり前だよ……そんな事ユイコさん望まない! 絶対望まない!」 ああ。 僕は。 僕は何をすればいい? 僕が僕であるために。 ――ユイコ。 「ユイコさんのことはわたしはわかんないけど……でもそれでもクリスさんには生きて何かをして欲しいと思う! 絶対!」 そうなのかな? 分からない。 頭の中がぐしゃぐしゃで。 ねえ ユイコ 君は…… ――その哀しみの連鎖、止めたいのだろう? 君が。誰かが哀しまない為にも―― ふと。 そんな声が聞こえた。 ユイコ 哀しいな、僕は。 でも君は僕が哀しむのを望まないのかな。 なら 僕はそれを止めなきゃいけないのかな。 シズルやなごみみたいな人の為に。 君が哀しまない為に。 僕が哀しまない為に。 分からないや。 けど 僕は 「……それでもやらないといけないのかもしれない」 分からない。 何も。 何も。 アルやトルタリセのことも。 フォルテールのことも。 考えない。 僕がユイコにとってのクリス君でいられる為に。 「哀しみの連鎖……止めなきゃ」 ただの人形のように。 今はそれだけ。 信じよう。 雨がやまない。 ザーザーと。 僕の心は癒えない。 何が必要で。 何が不要で。 考えないで 「止めなきゃ」 そう思った。 それがユイコの……僕の望みなら。 哀しくても。 哀しくても。 僕が止めよう。 僕の心が癒える事がなくても。 まだ。 雨がやまなかった。 ねえ、ユイコ。 空虚だね僕は。 こんな哀しみの連鎖を止めないとね。 空が晴れる事がなくても。 心が晴れる事がなくとも。 きっと。 きっと。 ユイコ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ あれからクリス君はわたしたちと一緒に行動する事を決めた。 哀しみの連鎖を止めたいと。 ただそれだけで言いと。 それだけ言って。 哀しみの連鎖。 大切な人の為に誰かの大切な人が死んでいく。 わたしも止めたいと思った。 「桂……クリスの事を注意せねばな」 「うん……」 彼は生きる事を決めた。 でもそれでも彼の心がいえることはなかった。 ただ目的が出来ただけ。 それ故に非常に危うく感じた。 だから傍で見てあげよう。 トルタちゃんの変わりに。 クリスくんはトルタちゃんに会う事を拒否した。 今はあいたくないと。 彼女が幸せなら邪魔はしない。 今は僕のできる事をとだけ。 それだけ言った。 だからわたしたちはしばらく恭介君達にも伏せようと思う。 クリス君といる事を。 「……ん?」 「……どうしたのアルちゃん?」 「いや……トルタに似た魔力を少しだけこの場所に感じてな……まあ気のせいじゃ」 そうアルちゃんはいうも何か気になるようで周囲を見渡してる。 あれ? トルタちゃんに魔力はないって言ってたのに? おかしいな? 「準備できたよ、ケイ、アル」 そんな時クリス君が声をかける。 どうやら準備が出来たらしい。 その時だった。 「……ううん? ここは?」 ホールの真ん中のお立ち台。 そこから光に包まれゆっくりと男の子が現れたのは。 【H-8/リゾートビーチ・屋外ステージ? “方舟”上/一日目/夕方】 【クリス・ヴェルティン@シンフォニック=レイン】 【装備】:和服、防弾チョッキ、アルのページ断片(ニトクリスの鏡)@機神咆哮デモンベイン、ロイガー&ツァール@機神咆哮デモンベイン刀子の巫女服@あやかしびと-幻妖異聞録- 【状態】:Piovaゲージ:95% 【思考・行動】 基本:無気力。能動的に行動しない。哀しみの連鎖を止める 0:目の前の男の子に対処 1:哀しみの連鎖を止める 2:静留を止める。そのためになつきを探す 3:ユイコの為にそれ以外は考えない 【備考】 ※雨など降っていません ※Piovaゲージ=鬱ゲージと読み替えてください ※増えるとクリスの体感する雨がひどくなります ※西洋風の街をピオーヴァに酷似していると思ってます ※巫女服が女性用の服だと気付いていません ※巫女服の腹部分に穴が開いています ※千羽烏月、岡崎朋也、椰子なごみの外見的特長のみを認識しています ※リセの死を乗り越えました。 ※記憶半覚醒。 ※静留と情報交換済み。 ※唯湖が死んだと思ってます。 ※島の気候の異常に関して、何らかの原因があると考えました。 ※リセルート、12/12後からの参戦です。 ※トルタに暫く会う気はありません。 【羽藤桂@アカイイト】 【装備】:今虎徹@CROSS†CHANNEL~toallpeople~ 【所持品】:支給品一式、アル・アジフの断片(アトラック=ナチャ)、魔除けの呪符×6@アカイイト、古河パン詰め合わせ27個@CLANNAD、誠の携帯電話(電池二個)@SchoolDaysL×H 【状態】:強い決意、全身に擦り傷、鬼、アル・アジフと契約、サクヤの血を摂取、微妙にふらふら(数時間で回復) 【思考・行動】 0:目の前の男の子に対処 1:尾花の行方が心配。 2:クリスの保護 【備考】 ※古河パン詰め合わせには様々な古河パンが入っています。もちろん、早苗さんのパンも混じってます。 ※魔除けの護符は霊体に効果を発揮する札です。直接叩き付けて攻撃する事も可能ですし、四角形の形に配置して結界を張る事も出来ます。 但し普通の人間相手には全く効果がありません。人外キャラに効果があるのかどうか、また威力の程度は後続任せ。 ※マギウススタイル時の桂は、黒いボディコンスーツに歪な翼という格好です。肌の変色等は見られません。 使用可能な魔術がどれだけあるのか、身体能力の向上度合いがどの程度かは、後続の書き手氏にお任せします。 ※制限によりデモンベインは召喚できません。 ※B-7の駅改札に、桂達の書いたメモが残されています。 ※桂はサクヤEDからの参戦です。 ※桂は、士郎の名前を知りません(外見的特徴と声のみ認識) ※桂はサクヤの血を摂取したお陰で、生命の危機を乗り越えました。 ※サクヤの血を摂取した影響で鬼になりました。身体能力が向上しています。 ※失った右腕にサクヤの右腕を移植しましたが、まだ満足に動かせる状態ではありません。 ※憎しみに囚われかけていましたが、今は安定しています。しかし、今後どうなるかはわかりません。 ※桂の右腕はサクヤと遺体とともにG-6に埋められています。 ※クリスの幻覚は何かの呪いと判断 ※クリスの事を恭介達にはなす気は今のところないです。 【アル・アジフ@機神咆哮デモンベイン】 【装備】:サバイバルナイフ 【所持品】:支給品一式、ランダムアイテム×1 【状態】:魔力回復、肉体的回復、羽藤桂と契約、微妙につやつや、恭介を微妙に警戒 基本方針:大十字九郎と合流し主催を打倒する 0:目の前の男の子を対処 1:桂と協力するクリスを保護 2:九郎と再契約する 3:戦闘時は桂をマギウススタイルにして戦わせ、自身は援護 4:信頼できる仲間を探す 5:時間があれば桂に魔術の鍛錬を行いたい 【備考】 ※制限によりデモンベインは召喚できません。 ※B-7の駅改札に、桂達の書いたメモが残されています。 ※アルは士郎の名前を知りません(外見的特徴と声のみ認識) ※アルからはナイアルラトホテップに関する記述が削除されています。アルは削除されていることも気がついていません。 ※アルはサクヤと情報交換を行いました。 ※クリスの幻覚は何かの呪いと判断 ※クリスの事を恭介達にはなす気は今のところないです。 ※恭介達を治療魔法を行ないました。どれくらい回復したかは光景に任せます 【菊地真@THEIDOLM@STER】 【装備】:電磁バリア@リトルバスターズ! 【所持品】:支給品一式(水なし)、金羊の皮(アルゴンコイン)@Fate/staynight[RealtaNua]、レミントンM700(7.62mmNATO弾:4/4+1)、予備弾10発(7.62mmNATO弾) 【状態】:背中付近に軽度の火傷(皮膚移植の必要無し)、傷治療中、肉体疲労(小)、精神疲労(中) 【思考・行動】 基本:誠と共に行動する。 0:ここは? 1:やよいと一旦距離を置く。 2:誠さんの行動方針を支える。 3:やよいや、他の女性を守る王子様になる。 4:巨漢の男に気をつける。 5:誠さん、本当に自重できるのかな? 6:誠さんは駄目な人だけど、それでも…… 【備考】 ※天狗秘伝の塗り薬によって休息に外傷を治療しました。大体の軽い傷は治療されました。 ※誠への依存心が薄れ、どういう人間か理解しました。 ※愛佳の死を見つめなおし、乗り越えました。 ※元の世界では雪歩とユニットを組んでいました。一瞬このみに雪歩の面影を見ました。 ※また、平行世界の可能性で若干動揺しています。 ※誠も真も、襲ってきた相手が大柄な男性(真人)であることしか覚えていません。 ※フカヒレからツヴァイの危険性、渚を殺害したことのみ聞きました。 ※平行世界や死者蘇生の可能性について知りました。 162 すれ違うイト 投下順 164 人として生まれ 165 日ハ沈ム、駒ハ踊ル 時系列順 167 know 151 羊の方舟 クリス・ヴェルティン 177 踊り場の見えざる手 165 日ハ沈ム、駒ハ踊ル 羽藤桂 アル・アジフ 149 THE GAMEM@STER (後編) 菊池真
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【検索用 False Hope 登録タグ F GUMI VOCALOID VoxBoxStudio ねじ式 曲 曲英 藤墅。】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:ねじ式 作曲:ねじ式 編曲:ねじ式 イラスト・動画:藤墅。 サウンドエンジニアリング:VoxBoxStudio(Twitter) 唄:GUMI 曲紹介 戻れないあの季節を嘆くよりも、あやふやな未来でも描こうか。 曲名:『False Hope』(ファルス ホープ) ねじ式氏の100作目。 「VOCALOID6 AI Megpoid」デモソング。 歌詞 終わることさえまだ見えない 悪夢の中で僕ら 何想う 憎しみの中で 「仕方ないよ」を積み重ね グラグラと揺れる心 やり場のない嘆き 些細な光さえ剝ぎ取られて 間違い探しに溺れてる 戻れないあの季節を嘆くよりも あやふやな未来でも描こうか 誰かが言う嘘っぱちな希望よりも 迷いながら君と創る 手探りの明日が見たい 君の歩いてる足跡に 雨が降り花が咲いて 傷ついた誰かを癒した そんな事など君は知らず 袖も触れない世界線で 笑えたらいいよな 持て余す時間が無邪気すぎて 清潔に汚れていく心 最後に逢った微笑みはどんな色? 今もまだ笑えているでしょうか 誰かがかざしてる正義よりも 間違いだらけの道を 君と歩いて行きたい 涙拾う真夜中に 繋げなかった灯火 想う ゴールなど解らない白夜の中 手を離さないでいて 戻れないあの季節を嘆くよりも あやふやな未来でも描こうか 誰かが言う嘘っぱちな希望よりも 迷いながら君と創る 手探りの明日が見たい False Hope... コメント 名前 コメント
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スターオーシャン4 THE LAST HOPEの攻略 スターオーシャン4 THE LAST HOPEの攻略ゲーム 攻略本・サウンドトラックなど 攻略サイト その他 ゲーム パッケージ メーカー公式HP 価格 発売日 備考 スクウェア・エニックス 公式HP Xbox 360 ¥ 8,925 2009/2/19 Xbox 360 アーケード スターオーシャン4 プレミアムパック 攻略本・サウンドトラックなど 表紙 タイトル 出版 価格 発売日 備考 スターオーシャン4 -THE LAST HOPE- ファイナルガイド ファミ通書籍編集部 スターオーシャン4-THE LAST HOPE-公式コンプリートガイド スクウェア・エニックス ¥ 2,310 攻略サイト サイト名をクリックで攻略サイトへ移動します。 サイト名 感想 攻略 その他 戻る
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Rising Hope Rising Hope アーティスト LiSA 発売日 2014年5月7日 レーベル アニプレックス デイリー最高順位 1位(2014年5月7日) 週間最高順位 2位(2014年5月13日) 月間最高順位 2位(2014年5月) 年間最高順位 17位(2014年) 初動売上 29820 累計売上 51298 ゴールド アニソンアー年間1位 アニソンアー上半期1位 収録内容 曲名 タイアップ 視聴 1 Rising Hope 魔法科高校の劣等生 OP 2 ポーカーフェイス 3 雨上がりの空とキミ ランキング 週 月日 順位 変動 週/月間枚数 累計枚数 1 5/13 2 新 29820 29820 2 5/20 7 ↓ 6261 36081 3 5/27 10 ↓ 3783 39864 4 6/3 15 ↓ 2616 42480 2014年5月 2 新 42480 42480 5 6/10 18 ↓ 1451 43931 6 6/17 15 ↑ 1207 45138 7 6/24 25 ↓ 1017 46155 8 7/1 ↓ 986 47141 2014年6月 24 ↓ 4661 47141 9 7/8 19 ↑ 762 47903 10 7/15 20 ↓ 575 48478 11 7/22 15 ↑ 563 49041 12 7/29 ↓ 475 49516 13 8/5 436 49952 2014年7月 39 ↓ 2811 49952 14 8/12 347 50299 15 8/19 382 50681 16 8/26 292 50973 17 9/2 325 51298 2014年8月 ↓ 1346 51298 魔法科高校の劣等生 OP 前作 次作 Rising Hope grillettoGARNiDELiA 関連CD ミレナリオ traumerei BRiGHT FLiGHT/L.Miranic
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White Hope(ホワイトホープ)是WIXOSS第一弹白预组,于2014年4月26日发售。编号WXD-01,简称WD01。 白色主题,共18种48张。 【THE一灭寂】预组第1期《White Hope》《Red Ambition》《Blue Appli》BD1特典 中文卡表 收录卡列表: LRIG卡组 编号 卡名 张数 WD01-001 満月の巫女 タマヨリヒメ 1 WD01-002 弦月の巫女 タマヨリヒメ 1 WD01-003 半月の巫女 タマヨリヒメ 1 WD01-004 三日月の巫女 タマヨリヒメ 1 WD01-005 新月の巫女 タマヨリヒメ 1 WD01-006 ロココ·バウンダリー 1 WD01-007 エイボン 1 WD01-008 バロック·ディフェンス 1 WD01-005和WD01-008卡面做了贴膜处理,但官方并未将其列为罕贵度。 主卡组 编号 卡名 张数 WD01-009 甲冑 ローメイル 4 WD01-010 大剣 カリバン 4 WD01-011 篭手 トレット 4 WD01-012 中剣 フランベル 4 WD01-013 小剣 ククリ 4 WD01-014 小弓 ボーニャ 4 WD01-015 ゲット·バイブル 4 WD01-016 サーバント D 4 WD01-017 サーバント O 4 WD01-018 噴流する知識 4
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作詞:佐藤大 作曲:清岡千穂 編曲:山本健司 歌:影山ヒロノブ 危険な奴らがホラ接近遭遇 僕らの味方はそうさ無鉄砲 歴史なんて信じない だから バッチリ決めてくれよ イカス 笑顔で ピースサイン! 青い風のHOPE 走り始めた伝説を その手で刻みつけろ 青い風のHOPE 信じられない世界が 君を待ってる まだまだこれから過激な人生 見上げてごらんよ青空快晴 逃げるヒマなんてない だから 翼広げてゆけ イカス カッコで ワンツーパンチ! 青い風のHOPE つらい時こそ胸をはれ 新しい波をおこせ 青い風のHOPE 見えない明日を照すのさ 君が希望…… 青い風のHOPE 走り始めた伝説を その手で刻みつけろ 青い風のHOPE 見えない明日を照すのさ 君が希望……
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Last Hope R 光文明 (8) 呪文 ■S•トリガー ■カードを2枚引く。 ■この呪文を唱えた時自分のシールドが無ければ次の自分のターンの初めまで自分はゲームに負けない。 作成者:RV
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SW/S49-117 カード名:A New Hope カテゴリ:クライマックス 色:青 トリガー:2 【永】 あなたのキャラすべてに、パワーを+1000し、ソウルを+1。 (門:このカードがトリガーした時、あなたは自分の控え室のクライマックスを1枚選び、手札に戻してよい) CR:フォースを学んで、父のようなジェダイ騎士になります SWR:A New Hope レアリティ:CR SWR ・対応キャラ カード名 レベル/コスト スペック 色 “夢を追う若者”ルーク 3/2 10000/2/1 青
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【登録タグ CD CDH tiltCD かめりあCD 全国配信】 前作 本作 次作 </TearDrop> Hope Sound Re tilt-six Vol.01 tilt かめりあ PandaBoY 流通 即売 通販 配信 発売 2015年11月14日 2018年1月31日 価格 ¥1,200(税込) ¥1,728 (税込) サークル tilt-six CD紹介 tilt-six こと tilt氏 の 2ndアルバム。 前作以降にリリースされた『プラスチックボイス』『マジカルシンメトリ』『曖昧なリバーシ』などの既存曲に新曲を加えた全14曲を収録。 本作では bloodthirsty butchers の 田渕ひさ子氏 がギターで、 かめりあ氏 と PandaBoY氏 が Remix で参加している。 ジャケットイラストを wogura氏 が、デザインを ミツナリ氏 が、マスタリングを かごめP が手掛ける。 THE VOC@LOiD M@STER 33(ボーマス33)にてリリース。 KARENTレーベルよりダウンロード販売が行われている。 曲目 プラスチックボイス feat. HATSUNE MIKU キミにガザニア feat. HATSUNE MIKU /前だけを見て走れ feat. HATSUNE MIKU ハッピープラグ (Instrumental) pray feat. HATSUNE MIKU 夜明け前のレゾナンス feat. HATSUNE MIKU オワラナイユメ feat. HATSUNE MIKU 透命人形 feat. HATSUNE MIKU ヒアミー feat. HATSUNE MIKU ホープサウンド feat. HATSUNE MIKU マジカルシンメトリ(Extended) feat. Anon Kanon 曖昧なリバーシ feat. v flower ミライプリズム(かめりあ's "Refraction of the story" Remix) feat. Megpoid(GUMI) HATSUNE MIKU エレクトロサチュレイタ(PandaBoY's "Electro Winter" Remix) feat. HATSUNE MIKU リンク 特設ページ Twitter とらのあな メロンブックス KARENT:「Hope Sound」 コメント ついにきたか2nd!! 今回も買います -- ゆーな (2015-11-06 03 02 20) ボーマスいけそうだから買う -- 名無し (2015-11-09 17 01 58) 名前 コメント
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BIOHAZARD 6 クリス編:part64-33~35,71~79,190~197 33 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/11/08(木) 22 32 17.95 ID lKYL3JHR0 【クリス編】 CHAPTER 1 2013年6月29日、東欧某国。 男が、酒に溺れていた。年齢は中年か。隆々とした体躯と体中に残った傷跡。まさに歴戦の勇士の体であった。 そんな男が、明らかに荒れた様子で呑んでいた。暗く、そして危険な空気を漂わせて。 客は誰も近づかない。店の雰囲気も暗くなっていた。店も客も、明らかに迷惑していたが、男はそれでも酒を呑んでいた。 ついには、バーテンの女性に絡み、客の一人と乱闘を始めた。男は荒れに荒れて、落ちるところまで落ちていた。 青年が、男の乱暴を止めた。近寄りがたい雰囲気で呑んでいた男の隣にわざわざ座ってステーキを食べていた青年だ。 彼は【ピアーズ・ニヴァンス】と名乗り、男に【クリス・レッドフィールド】と呼びかける。 ピアーズは、クリスのことを半年間も探し回って、ようやく見つけ出したのだという。 だが、クリスにはピアーズと面識がなかった。いや、思い出せなかった。彼は半年前に記憶喪失に陥っていたのだ。 ピアーズは携帯端末を取り出し、写真を見せた。彼らが半年前に共に戦った任務の写真だった。 ほかにも、たくさんの男たちが彼らのチームだった。ピアーズは端末で仲間たちの写真を表示し、クリスに突きつける。 「事実から目を背けることは許されない、あんたは過去と向かい合うべきだ。 見ろ、見るんだ! みんなあんたにすべてを託して死んでいった仲間だ! そうやって目を背けて、なかったことにする気かよ!」 ピアーズの熱弁もむなしく、クリスはなにも思い出せない。しかし、ひとつだけ、クリスの頭を刺激するものがあった。 ピアーズのジャケットの肩に縫い付けられた、【B.S.A.A.】のエンブレム。 「そうだ。あんたの帰るべきところだ。みんなが待ってる。あんたを迎えに来たんだ、隊長」 ピアーズはそう言った。ほかにも数人の男たちが、クリスの傍に集まってきた。彼らは、クリスを慕う部下たちだった。 (俺は何から逃げていた? その答えを知らなければ、永遠に前に進めない……。) 記憶は相変わらず蘇らない。だがクリスは、この男たちの隊長として、再び戦場に立つことにした。 そこに、自分の失われた記憶が、自分の人生の意味があると信じて……。 翌6月30日。中国、偉葉(ワイイプ)。生物兵器【ジュアヴォ】を用いたテロ事件が発生。B.S.A.A.が鎮圧に向かう。 テロ組織は、国連職員数名を拉致し、とある雑居ビルに監禁しているらしい。その救出が、彼らの任務だ。 クリスは、アルファチームのリーダーとして戦うことになった。その隣には、ピアーズが従っている。 到着したクリスらを真っ先に出迎えたのは、カメラマンとリポーターだった。それらを押しのけて、クリスらは進む。 奇妙な仮面(京劇に使うものだろうか?)を被ったテロリストと遭遇。なんと、頭に銃弾を受けても活動している。 「ジュアヴォと遭遇! イドニア内戦時と同じ特徴を確認した!」 ピアーズがH.Q.(ヘッド・クォーター=本部)に報告するのが聞こえた。 ジュアヴォとは、人間同様の思考能力と武器活用などの応用力があるB.O.W.だ。さらに変異する性質も秘めている。 彼らは人に見えるが、もう人ではない。無抵抗の市民にも容赦がない、恐るべきバイオ兵器へと堕ちてしまった存在だ。 ジュアヴォは武装していた。ロケットランチャーを取り出して、B.S.A.A.のヘリを墜落させる者までいた。 それらと戦うクリス。記憶はまだなくとも、身体で覚えた戦いのカンは鈍っていないらしく、快進撃を続ける。 別チームの一人が、ジュアヴォに首を絞められているのに遭遇。ピアーズは細く息を吐いて、狙いを定めた。 見事、ジュアヴォの肘関節に命中。ピアーズは狙撃を最も得意としており、その腕は天才的である。 するとそのジュアヴォの腕が、急激に変異を始める。これが、ガナードやマジニと決定的に異なる特徴だ。 驚異的な再生能力により、ダメージをきっかけとしてより怪物的でより強力な特徴を備えた個体へと変異を遂げるのだ。 敵の反撃によって、部下の隊員が一人死亡した。その姿を見て、クリスの記憶の断片がフラッシュバックする。 一瞬、それに気をとられたクリスだが、ピアーズに肩を叩かれて我に返った。考えにふける時間はない。 クリスは任務に集中し直し、素早くチームに指示を出す。迷いはなく、内容も的確だ。 目標地点の雑居ビルにたどり着いた。だがチームの消耗が激しい。突入前に、他チームの到着を待つことにする。 ワラワラと湧いてくるジュアヴォたちを殲滅し、無事合流を果たしてビル内に突入した。 H.Q.の指示に従い、7Fへ。下半身全体が変異し、まるでクモかゴキブリのように走り回るジュアヴォが登場、 人質をがっちり抱きかかえてあっちこっちに逃げ回る。人質を傷つけないよう注意しつつ攻撃、救出に成功。 続いては1F。人質周辺の敵を一気になぎ倒し、安全を確保。……したと思った次の瞬間。 人質の背後に突然ジュアヴォが登場、刃物で人質の喉を切り裂こうとしている。 脳内物質による錯覚か、クリスには周辺の風景がスローモーションに見えた。狙いを定め、ジュアヴォを撃ち抜く。 他チームのメンバーからも続々と人質救出の連絡が入る。どうやら全員の救出に成功したようだ。 あとは脱出するだけだ。すべてのメンバーが脱出したら、汚染拡大を防ぐため、このビルは爆撃される。 だがあと一歩で脱出というところでビルが崩れ、クリスとピアーズだけが中に取り残されてしまった。 H.Q.に急いで連絡を取るが、もう爆撃は始まってしまった、とのこと。 「マズいな 仲間の爆撃で殉職なんてゴメンだぜ」 3Fまで戻り、バルコニーから外へ飛び出した。次の瞬間、ミサイルが着弾し、爆発。間一髪だった。 爆発と崩落が収まってから、クリスらは雑居ビルの跡地を確認しに向かった。 残骸の中には、ジュアヴォたちの成れの果てと思われる、黒粘土の人形のような物体がゴロゴロしていた。 その“サナギ”をみて、フラッシュバックと頭痛に襲われるクリス。半年前の記憶が、蘇る……。 71 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/11/16(金) 12 03 10.26 ID mIDdPHBW0 【クリス編】 CHAPTER 2 半年前、2012年12月24日。東欧、イドニア共和国。 クリスは、B.S.A.A.アルファチーム隊長として、バイオ兵器を用いている反政府ゲリラたちの鎮圧に来ていた。 複雑な内政事情により内戦が絶えないこの国は、まさにテロ組織が隠れ潜むのにぴったりの土地である。 部下の一人が、殉職した。敵の情報を持ち帰ってくるのに無茶をしたらしい。 「B.S.A.A.の使命は、バイオテロを根絶することだ。俺たちは捨て駒じゃない」 「大切なのはおまえたちが生き残り、同志を増やしていくことだ。ここにいるひとりひとりが希望だ」 クリスとピアーズは、部下たちにそう語った。 部下が命を賭けて入手した情報を確認した。反政府ゲリラたちは新型のB.O.W.ジュアヴォを用いているらしい。 ゲリラがそれを開発したわけがないだろうから、その背後に何らかのバイオテロ組織がいることは明白だ。 気を引き締めて任務にかかるよう、クリスは発破をかけた。 落ち着かない様子の部下に、クリスは声をかけた。彼の名は【フィン】。今回が初陣らしい。 「いいかフィン、俺たちは家族だ。家族を信じろ」 クリスは、フィンの肩を叩いて微笑んだ。 移動中、さっそく敵部隊と遭遇。すぐさま市街戦に突入した。 思い思いの服装と武器を手にしたゲリラたちとしばらく戦ううちに、ピアーズがあることに気づいた。 「弾を少しも恐れちゃいない…… 普通じゃないですよ、こいつら!」 クリスも同じことを感じていた。一見普通の人間に見えるが、どこかが違う。これがジュアヴォか。 作戦通りに着実に進んでいくアルファチーム。その道中に、驚異的な巨体のB.O.W.が登場した。 頭は建物の屋根よりさらに高く、その手足は大型トラックがミニカーに見えるほどに大きい。 現地の言葉で「巨人」を意味する【オグロマン】という名のB.O.W.であった。 「規格外もいいところだ! 新種のオンパレードだな!」 巨体にふさわしいタフさで、しとめ切れず逃げられる。そのついでに道を崩されて、遠回りを強いられた。 「あんな新種、報告されてませんよ!」「新しく投入されたんだろう」 ピアーズの疑問に、クリスが答える。どう考えても、ただの反政府ゲリラではない。 さらに進んでいく。が、B.S.A.A.の装甲車が地雷を踏んで走行不能になってしまった。 対戦車地雷まで出てくると、テロというよりもはや戦争だ。戦いはどんどん激しくなっていく。 徒歩で進んでいくが、ルート上で列車が横転している。……そう都合よく? 明らかに、足止めするワナ。 案の定、ジュアヴォたちがワラワラと湧いてくる。工兵フィンに爆破準備させ、他の隊員たちで応戦した。 線路沿いに進んでいくと、鉄橋に到着。ブラヴォーチームの負傷兵が1名、橋に取り残されているのが見えた。 さらに奥には、ぱっと見は旧型だが相当改造されているらしい戦車。さらに奥はバリケードで封鎖されている。 ブラヴォーチームと合流、正面と側面の二手に別れて攻略することにした。 狙撃の名手であるピアーズは側面部隊のほうが向いているだろう。クリスはそちらへピアーズを送った。 フィンが先行、クリスもそれを追う。だが、足を踏み入れたとたん、橋が爆破された。 崩れそうな橋にしがみつき、這い登るクリス。フィンに引き上げてもらって、なんとか命拾いした。 戦車とまともに遣り合っては勝ち目はない。ピアーズになにか有効な目標はないか聞いてみる。 彼はタンクローリーを発見し、狙撃。爆破、炎上。戦車と周辺のジュアヴォは巻き込まれて灰になった。 クリスとピアーズは合流し、橋の上部を確保。しかし敵はさらに増援を送ってくる。 フィンに負傷兵の様子を聞くが、足をやられていて動けないらしい。 「隊長! 私たちにはかまわず、先に行ってください!」 「部下を見捨てて逃げるような真似はしないさ、ここで待っててやる、引きずってでも連れて来い!」 ワラワラとわいてくるジュアヴォを必死に防ぐが、倒しても倒してもキリがない。装甲砲台まで出てきた。 だがフィンも新人ながらなかなか骨がある。負傷者を担いで、クリスらの下へしっかり合流した。 その彼に、橋を爆破するよう指示するクリス。フィンは絶妙なタイミングで爆破し、装甲砲台を下へ落とした。 これで追われる危険は大きく減少した。クリスらはやっと橋から撤収した。 負傷者をブラヴォーチームに任せて、アルファは作戦を継続することに。すると、予期せぬ客と遭遇した。 まだ若い男女の二人連れで、女性のほうが「合衆国エージェント、【シェリー・バーキン】」と名乗った。 「シェリー? ラクーン・シティ事件の? クレアから聞いている。妹が世話になっているな」 クリスは、初対面ながらも縁深い相手との出会いに、顔を綻ばせた。 「クリス、後ろのヤツは反政府ゲリラです」 ピアーズが目ざとく見つけ、クリスに報告した。 シェリーは慌てて、彼は故あって自分が保護した人物で、生粋のゲリラではなく傭兵である、と弁護する。 だが青年、「カネ次第で怪物とだって隊列組むぜ」と不謹慎な冗談を吐き、ピアーズはそれにカチンと来る。 一触即発になったが、喧嘩が始まる前に、ゲリラとの戦闘が始まった。 上空に謎のヘリが登場し、それがぶら下げていたB.O.W.を投下したのだ。超巨大な怪物、オグロマンである。 「安全なところへ下がっていろ!」 「いいえ、戦わせて! もう……守られる立場は卒業したの!」 クリスの心配をよそに、シェリーは協力することを提案。クリスもそれを快く受け入れた。 B.S.A.A.エコーチームが増援に駆けつけているが、敵組織の高射砲が邪魔でヘリが近づくことができない。 B.O.W.の相手をしながら高射砲を破壊する、二面作戦が必要になる。 工兵であるフィンが、高射砲に爆薬を仕掛ける。その間、クリスらは援護に徹した。 オグロマンを撃破するが、2体目が登場。さっき逃がしたヤツだ。 時間が経ったからか、むき出しだった背中の弱点が中に引っ込んでしまい、金属のパーツがちょこんと見えるだけになっている。 ある程度ダメージを与えた後、ビルの屋上から背中へと飛び移り、力任せに引き抜く。ヘリからの爆撃で、怪物は絶命した。 無事エコーと合流できた。クリスはヘリコプター部隊に、シェリーらを本国へ連れて帰るように指示を出した。 歩み去ろうとする青年……【ジェイク・ミューラー】に、クリスが声をかけた。「……どこかで会ったか?」 ジェイクは一瞬ためらってから、減らず口を叩いた。「B.S.A.A.のアホ面どもの見分けなんかつくか」 「テメェ、いい加減に!」ピアーズが激高するが、クリスが止めた。 「逃がしてよかったんですか? あいつら傭兵にやられた仲間だってたくさんいるんですよ!」 アツくなってクリスにつっかかるピアーズ。だがクリスは冷静にそれをなだめた。 「俺たちは戦争に来たんじゃない。B.S.A.A.の使命はバイオテロと戦うことだ。それを忘れるな」 シェリーらと別れ、アルファチームは目標であった庁舎内部へ突入した。 敵の大部隊がいるかと思いきや、誰もいない。代わりに、人型の奇妙なオブジェが立ち並んでいた。 「これ… ヒトですか?」 「生体反応アリだ、まるで“サナギ”だな」 不気味な展開に戸惑いながらも、B.S.A.A.隊員は調査を進める。 部隊を分けて探索を進めるよう指示するクリス。ピアーズとフィンとで、奥を調べることにする。 すると、生存者らしき人影が見えたので、追う。青いドレスに整った黒の短髪という、場違いな格好の女性に見えた。 オフィスらしき部屋に着いた。それを見計らったように、そこにあった“サナギ”が、突如変異を遂げた。 甲殻類のような体表に身を包んだ重量級B.O.W.【】である。非常にタフで、排除するのは骨が折れた。 庁舎奥へと進む。そこには、大量のクスリのアンプルが散らばっていた。 「【C-ウィルス】……反政府ゲリラはそう呼んでいたわ」 アンプルに気をとられた3人の隙を着くように、女性が話し掛けてきた。青いドレス、黒の短髪のアジア人女性。 「【エイダ・ウォン】。ここの職員よ、捕まっていたの。……保護してもらえないのかしら?」 銃を突き付けられた女性は、余裕ある態度を崩さずにそう言った。クリスらは当然、それだけでは疑いは解かない。 女性は薄く笑いを浮かべると、ある情報を口にした。 「【ネオアンブレラ】。反政府組織に協力していた組織がいたの。確かそいつらがそう名乗っていたわ」 エイダと名乗る女性は、テロリスト一味ではないようだが、妙に余裕たっぷりな態度が気になる。 クリスは、女性を保護するようフィンに指示したが、同時に警戒は解かないようにとピアーズに耳打ちをした。 ホールに戻る。エイダの案内で直通の近道を通った。と、ホールにあったサナギがすべて孵っている。 チーム全員と合流してこちらの数も増えているが、それ以上にサナギから出てきたB.O.W.の数が多い。 こいつらを掻き分けて正面から退出するは不可能と判断し、上階へと逃げることにする。 庁舎の中はサナギだらけで、行けども行けどもB.O.W.に遭遇する。だが数は少なくなっており、対処しやすい。 チームは一丸となって出口へと向かった。あと少しで脱出できそうだ。 ……そのとき、ピアーズがふとあることに気がついた。慌てて周囲を見渡す。そして叫んだ。 「さっきの女がいない!」 そして、ワナが作動した。前を走っていたクリスとピアーズは運よく逃れたが、他全員が鉄格子に閉じ込められる。 「エスコートしてくれてありがとう。お礼にイイモノあげるわ」 ワナを作動させた張本人であるエイダ・ウォンが、やはり余裕のある勝ち誇った声で言った。そしてあるモノを投げる。 野球のボールほどの大きさで、無数に針が仕込まれた装置。それは、B.S.A.A.メンバーたちの真ん中で炸裂した。 無数の針が隊員たちへと突き刺さる。針には、C-ウィルスが仕込まれていた。 クリスは鉄格子を叩いた。開かないとわかっても、しがみついて必死に叫んだ。 しかしクリスの呼びかけもむなしく、クリスの目の前で、部下たちはC-ウィルスでサナギと化してしまった。 鉄格子が開き、サナギのひとつが羽化する。絶望に呆然とするクリスは、殴り飛ばされ、後頭部を強打してしまった。 クリスの意識は薄れていく。視界は闇に覆われ、音もかすれていく。 だが意識を失う寸前まで、クリスの視界から、変わり果てた部下たちの姿が消えることはなかった……。 76 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/11/16(金) 13 12 07.58 ID mIDdPHBW0 【クリス編】 CHAPTER 3 ……回想は終わり、場面は2013年6月30日のワイイプへと戻る。 B.S.A.A.の火炎放射隊が、雑居ビル残骸で発見されたサナギを丁寧に焼却していた。 その姿を眺めながら、クリスは低く冷たい声でピアーズに質問した。「エイダ・ウォンはどうしている?」と。 「記憶が戻ってるんですか?」 ピアーズは驚き、説明を始めた。「あの女は、ネオアンブレラと関係していて……」 「この街にいるかいないのかどっちだ!?」 遮るように、クリスが怒声を上げた。余計な情報は要らない。 「……目撃情報あり。この街にいます、絶対に」 その気持ちを察して、ピアーズは端的に答えた。 クリスはすぐさま、今後の指揮をすべて自分が執ると宣言。他チームも含めた部隊再編をすばやく指示した。 負傷者の保護やこのビル跡地の処理にあたるチームを作り、残りの活動できる戦力はすべて追跡チームとした。 目標はたたひとつ。部下の仇である憎きテロリスト、エイダ・ウォンの追跡・捕獲である。 早速移動を開始する、と、廃墟の地下から、ヘビ状のB.O.W.がヌルリと登場したのに遭遇した。 どういう仕組みか、いわゆる光学迷彩の原理で、周辺の光景と同化して透明になる能力を持っているらしい。 B.O.W.あるところにテロリストあり。このB.O.W.を追跡すれば、エイダの元に辿り着くであろう。 追跡の最中、部下が食らいつかれ、そのまま連れ去られた。再び部下の命が奪われたことに、ますます激昂するクリス。 公園を抜けて、雑居ビルへ。大都会の裏通りのゴミゴミした集落を超えていく。 すると、街を彷徨っているシェリーとジェイクを発見した。 「あいつら生きていたのか! イドニアから半年、行方がわからなくなっていたんです」 とピアーズが、ここ半年の情勢を知らないクリスに説明した。そこに、重装甲の武装ヘリが登場する。 さらにはジュアヴォたちがワラワラと湧き出し、シェリーらを包囲する輪を作った。 「あいつら、ネオアンブレラに追われていたのか!」 ピアーズが、謎が解けた、という感じで叫んだ。 「よし、怪物どもを大掃除するぞ」 クリスはそう決断し、部隊に攻撃を命じた。 B.S.A.A.アルファチームは彼らを援護し、武装ヘリとジュアヴォに攻撃を仕掛ける。 シェリーらを安全なルートに誘導しようと通信兵が呼びかけるが、通信機器が壊れているのか無視しているのか、 二人からの返事はなく、誘導することは不可能。その場に留まる二人をとにかく守る形での戦闘になった。 今回のジュアヴォは、腰から下が完全に変異し、バッタの足のようになった姿をしていた。 すさまじい跳躍力でビルを飛び越え、高い安定性で武装ヘリの上に着地して銃撃をしてくる。恐ろしい生物兵器だ。 だがB.S.A.A.も歴戦、身体能力で劣っていてもそう負けはしない。ジュアヴォを殲滅、ヘリも撃墜した。 ジェイクと目が合うクリス。だが、お互い言葉を交わすことはなかった。立ち去っていくシェリーとジェイク。 「あの二人を保護しましょう! アイツらだけじゃ危険です!」 ピアーズが提案した。 「……放っておけ 行くぞ」 しかしクリスは冷たく却下。彼の目には、エイダの追跡しか映っていないかのようだ。 人命を何より大事にしていたクリスのものとは考えられない命令だ。驚いたピアーズは、珍しく反対した。 「隊長、行かせちゃダメです! ネオアンブレラに追われてるんですよ!?」 「俺たちの目的はB.O.W.の殲滅だ! 何度も言わせるな! エイダ・ウォンの居場所を突き止める!」 「……隊長、お願いだ、冷静になってくれ……」 ピアーズの願いもむなしく、クリスは聞く耳を持たなかった。 先へ進むアルファチーム。廃墟付近でB.O.W.に連れ去られた部下の死体を見つける。ひどい有様だった。 クリスの頭に、ますます血が昇った。ピアーズの反対も無視して、廃ビルへの強行突入を指示する。 だが、立体的な構造で隠れるところも多い建築物は、ヘビ型B.O.W.にとっては格好の狩場だ。 通風孔から、天井裏から、窓から、突然飛び出してきては、隊員が一人ずつ襲われ、殺されていく。 クリスは完全に逆上している。ヘビの気配を感じ、そちらへ一目散に突っ込んでいった。 チームワークを省みない、明らかな暴走だ。返り討ちに遭いそうになり、ピアーズに救われた。 「ひとりで突っ走るなんて、なに考えてるんだ!?」 ついにピアーズは我慢の限界に達し、クリスに噛み付いた。 「決めるのは俺だ、ついてこれないヤツは切り捨てていくぞ」 だがクリスも、方針を曲げる気はない。 チームに険悪な雰囲気が漂う。そんな中でも、一人また一人と隊員たちは命を散らしていく。 ビル内でB.O.W.と戦闘、弱らせて裏路地へ追いやった。 そこでB.O.W.は、透明化を解除し、表面を硬質化して防御を固める戦術に切り替えてきた。銃弾は通用しない。 クリスらは、ビルの電源を使って電撃を浴びせる作戦を実行し、ついに仕留めることができた。 B.O.W.を仕留めたが、しかしそれは小目標に過ぎない。クリスは、既に二人しかいなくなった部下に告げる。 「エイダがまだだ。あいつを片付けない限り、何も終わりじゃない」 まだ冷静になりきれていないクリスに、ピアーズはなおも慎重策を提案する。だが、その台詞をさえぎるように、 「私を探しているのかしら?」 妖艶な女性の声が響いた。忘れもしないこの声。青のドレス。間違いない、エイダ・ウォンだ。 だが、銃を構える暇もなく、エイダの放ったウィルス弾が、最後の部下、マルコに命中した。 見慣れてしまった、もう見たくなかった、あの変異が起こってしまう。マルコは、怪物になってしまった。 エイダはさっさと逃げてしまった。クリスらは、部下であった怪物と戦わねばならない。 エイダへの怒りをますますたぎらせるクリスだが、半年前のトラウマが蘇り、銃を構えることをためらう。 「こうなったらもう殺すしかない。俺たちが仲間としてコイツにできることは、もう……」 ピアーズが、戦うことを促す。クリスも覚悟を決めて、マルコを、いや、B.O.W.を、射殺した。 B.O.W.の死体から、C4爆弾が転がり落ちた。マルコは工兵で、爆発物担当だったのだ。 その忘れ形見を拾い上げ、クリスはそれを鍵のかかった鉄格子に叩き付けるようにして設置。道を作り、進んだ。 完全に頭に血が上っているクリスを見て、ピアーズは落ち着くように言った。 「おまえはここまでされてなんとも思わないのか!」 クリスはなおも興奮してピアーズにも噛み付く。 しかしピアーズは反論した。今のクリスは、明らかに復讐に取り憑かれ、正気を失っている。 「B.S.A.A.の使命なんかどうでもよくなってるんだろ!? 今のアンタの姿を、フィンたちに見せられるのかよ!」 その指摘にクリスは顔色を変える。しかし、大切な部下を、自分の記憶を、奪ったエイダへの怒りは収まらない。 売り言葉に買い言葉の勢いもあって、気に入らなければ着いてこなければいい、一人でも進む、とクリスは宣言した。 しかしピアーズはあくまで共に行動すると言った。「今のアンタは危なっかしすぎる」と。 H.Q.と情報をやり取りした結果、スラムを抜けて、南の港湾方面へ向かうことにした二人。 道中、ジュアヴォ編隊に襲われつつも、それしきで足止めされるほどヤワではない。突破して進んでいく。 むしろ防御網にぶつかるたびに、目指す標的に近づいているという確信が深まり、足取りは力強くなっていく。 ボートに乗り込むエイダを肉眼で確認。ここで捕らえる、と思ったが、そこに武装ヘリが登場した。 やむなく追跡を中断し、港の高級レストランに逃げ込んで応戦。見事、武装ヘリの撃墜に成功した。 だが、エイダには逃げられた。H.Q.にエイダの逃走先を確認。どうやら近くに研究所があるらしい。そちらへ向かう。 到着すると、ちょうどドアをくぐるエイダを発見した。誰かと話している最中なのか、ドアの中に気をとられている様子だ。 反射的に発砲するクリス。だが命中しなかった。エイダはフックショットですばやく脱出した。 「逃がすか……!」 クリスは低く呟き、すぐさま追跡。 いかにも研究所然としたエリアに踏み込む。案の定、侵入者を阻む仕掛けが満載であった。 「よく来たわね。ここは私のお気に入りの場所…… せっかくだから楽しんでいって?」 エイダが姿を見せ、挑発した。 仕掛けを解除し、追いかける。部屋に閉じ込められて新兵器の実験台にされたりもしたが、突破して追いかけた。 そしてクリスとピアーズで挟み撃ちにし、角に追いやった。ついに、ついに追い詰めた。 しかし、クリスの背後から、何者かが妨害に入ってくる。不意を突かれたものの、クリスはしっかりと応戦した。 乱闘の末、銃を突きつけあう二人。お互いの顔を見つめあい……そして、気づく。 「……クリス?」「……レオンか!」 そう、彼らはDSOの【レオン・S・ケネディ】と、その同僚の【ヘレナ・ハーパー】だった。 「彼女を殺させるわけにはいかない、彼女はテロの重要証人だ」 レオンが言った。 「証人? 彼女はテロの首謀者だ!」 クリスが反論し、「違う、首謀者はシモンズだ!」 またレオンが言い返す。 「俺たちは、部下を皆殺しにされた!」「俺たちは、アメリカ大統領と市民7万人を失った!」 お互い、一歩も譲らない。 「ネオアンブレラだぞ? この名前が俺たちにどういう意味を持つのか……!」 「わかってる!」 「どうあってもこの女を信じるというのか?」 「……信じる」 クリスの問いに、レオンは明確に答えた。 そうこうしている隙に、エイダは閃光手榴弾を投げて、すばやく逃走した。 ピアーズが発砲するが、すべて空振り。またしても、エイダに逃げられてしまった。 追跡を妨害され、少し苛立つクリスだったが、しかし、戦うべき敵、目指す目的は同じだというレオンの説得に折れる。 「……エイダはB.S.A.A.が追う、お前らはシモンズを追ってくれ」 「……クリス、お前を信じるぞ」 レオンは別れ際に、クリスにそう呼びかけた。クリスは、少し曖昧に頷いた。 H.Q.によれば、エイダは軍港に向かったという。そこには、数日前に突然連絡を絶ってどこかに消えた合衆国の空母が、 突如姿を現して停泊しているという。まず間違いなく、ネオアンブレラが奪い、テロに利用しているものに違いない。 真っ赤なスポーツカーでハイウェイを飛ばすエイダ。B.S.A.A.の二人は、それを追うべく銃座つきトラックに飛び乗った。 トラックの銃座を握るクリスは、運転席に座ろうとしたピアーズを呼び止めて、言った。 「……おまえのいうように、俺は目を背けていたのかもしれない、すべての過去から」 自らの過ちを認めたクリスの顔は、いままでの濁った怒りが薄れ、かつての爽やかさを取り戻していた。 クリスがようやく本当の自分を取り戻した姿を見て、ピアーズも彼への信頼を回復させる。 「行けるか、ピアーズ?」「任せてくださいよ、隊長!」 スポーツカーとトラックが、ハイウェイをひたはしる。敵が妨害してくるので、クリスは銃座を乱射して蹴散らした。 H.Q.にハイウェイの封鎖を要請するが、人員が割ける状態ではないとのこと。となれば、自力で追いつくしかない。 エイダの乗ったスーパーカーが乗り込むのと同時に、空母は離岸してしまった。 しかし二人はトラックを全力で走らせてジャンプさせ、無理やり空母の甲板へと乗り込んだ。 トラックから投げ出された二人は甲板上を転がる。事故同然だが、なんとか空母に乗り込むことに成功した。 190 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/12/07(金) 04 54 43.44 ID ByUqFtM40 【クリス編】 CHAPTER 4 無理やりな着艦の痛みにうめく暇もなく、二人は立ち上がって銃を構えた。すぐに警備のジュアヴォが押し寄せてくる。 今までの中国の街中で出会ったジュアヴォは、本格的な武器こそ持っていたが、服装はラフだし戦術も雑だった。 一方こちらはネオアンブレラの精鋭のようで、完全武装し、狙撃兵など複数の役割に分かれて統制の取れた攻撃をしてくる。 エイダが船橋へと入っていくのが見えた。それを追おうとする二人だが、階段を外され、隔壁が下ろされてしまった。 「やってくれたな…… どうしますか?」「作戦に変更なしだ、エイダを追う」 ピアーズの質問に、クリスは力強く答えた。 ジュアヴォたちに邪魔されながらも、甲板上を走り回って進路を開いていく二人。 空母に搭載されていたミサイルを操作し、隔壁にブチ込んで壊した。階段はレバー操作で元に戻した。 赤いジャケットと革のパンツ姿のエイダが、ワイヤーフックを駆使して華麗に進んでいく。二人はそれを追い続ける。 しかしエイダは、その気になればたやすく振り切れるのに、あえて姿を見せて誘導しているかのようだ。 ピアーズはそれを、エイダがこちらを振り回して挑発しているものと受け取って、腹立ち紛れに悪態をついた。 そうこうしていると、聞き覚えのある声が電話で話しているのが聞こえた。……ついにエイダに追いついた。 「あなたがわたしにくれたもの そっくりお返しするわシモンズ。あなたは人間でなくなるだけよ。……全人類と共にね。 今日までの世界を築いたのはあなたとあなたのファミリーよ。でも明日、目にするのは……まっさらな世界よ」 黒い短髪。青いドレス。エイダは通話相手を嘲笑い、通話を打ち切る。そして二人の追跡者に気づくと、また逃走した。 艦橋の頂上に辿り着いた。ここからではもう、空でも飛ばなければ逃げ道はない。ようやく、追い詰めた。 「懲りないわねぇ。バケモノになった部下たちは、きちんと始末できたの?」 しかしエイダは二人を嘲笑う。 「挑発に乗っちゃダメだ、隊長!」 ピアーズが叫ぶ。だがそれは余計な心配だった。クリスはもう、自分を取り戻している。 クリスの構えた銃が火を噴いた。だが、撃ち抜いたのは体ではなく、彼女が持っていたウィルス針を発射する銃。 「B.S.A.A.には使命がある。……一人なら、忘れていたところだ」 クリスは語った。エイダへと、自分へと、ピアーズへと。 そして、エイダへ告げる。「投降しろ」と。怒りもある。憎しみもある。しかし復讐に心を曇らせることは、もうない。 「……もう遅いわ、沖にむかった別の空母が、もう発射準備を始めている」 しかしエイダは余裕を崩さず言った。。 なにを、は、エイダは言わなかった。しかしクリスにはすぐ予想がついた。 さきほど、この空母でも見かけたもの。そして、3年前、ウェスカーが世界中へのウィルス撒布に使おうとしたもの。 「……ミサイルか!」 「あのラクーンの光景が蘇るの。でも今回は規模が違うわ……全世界でよ」 エイダの口元が、邪悪に歪んだ。 そのとき突然、ヘリコプターが現れた。驚く二人。だがエイダもまた驚いて振り返っている。 ヘリから身を乗り出していた黒服の男が、彼女の胸に弾丸を撃ち込んだ。そしてそのまま飛び去っていく。 「……あの男……考えることは一緒だったようね…… でももう、誰にも止められない……!」 致命傷を負い、血を吐きながら、それでもエイダは勝利を確信した笑みを浮かべる。そしてそのまま、船橋から落下した。 慌てて駆け寄り、下を覗き込むクリスとピアーズ。甲板には、ぴくりとも動かない体と、飛び散った血の跡が見えた。 あまりにもあっけなく、エイダは死んだ。理解しきれない謎を残して。 しかし、感慨に浸ったり、疑問に惑ったりしている余裕はなかった。テロは今なお進行中なのだ。 ピアーズはエイダが置いていったトランクをすばやくチェックした。 「新型の注射器のようです。二本ぶん開いてる……!」 1本はマルコに使ったものだろうが、あともう1本は? 「調べてる時間はない」 クリスは短く言った。怪物と遭遇したら、そのときに対処するしかない。 そして残った1本の押収を命じた。本部に持ち帰れば、分析用のサンプルになる。 「至急、所在不明の船舶を確認してくれ!」 クリスはH.Q.に強く要請した。 「首都機能が完全にマヒして、向こうの司令部と連絡が取れない、少し時間をくれ」 とH.Q.は答えた。 合衆国ではつい昨日、大統領がテロによって死亡。その空白を補うはずの補佐官も、私用で行方知れずになっている。 そんな状況で機敏に対応しろというのも無茶かもしれないが、しかしそんな悠長なことを言っていられる状況ではない。、 「急いでくれ! このテロすべてが陽動だ! ヤツらの目的は……全世界だ!」 それだけ伝えて、通信を切るクリス。そして二人は空母の格納庫へと向かった。おそらく、戦闘機があるはずだ。 格納庫へ向かう扉を開くには、3つのパスコードがいる。いつもの面倒な足止めに苛立ったが、集めなければ先へ進めない。 千切れても破片のまま動き回る不死身のB.O.W.【ラスラバンネ】に邪魔されつつも、パスコードを揃えて戦闘機を強奪した。 H.Q.からの連絡で、所属不明の空母があるとわかった。甲板に怪しげなミサイルがあることも確認された。 「エイダは世界中でラクーンを再現すると言っていた…… なのに、用意したのはミサイル1発?」 疑問に思ったクリスが再確認するが、しかし可能性のある船舶はそれしか見つからなかったという。 なんとなくイヤな予感を覚えつつも、ミサイルを止めるべく、二人を乗せた戦闘機は空を駆けていく。 空母は巡洋艦数隻に守られている。戦闘機だけですべてを撃沈するのは、とても可能とは思えない神業である。 だが、元空軍のエースだったクリスと天才狙撃手ピアーズの腕と、B.S.A.A.の強い信念があれば、不可能も可能になる。 巡洋艦と高射砲をすべて破壊し、着艦。ピアーズが甲板に飛び降りて、ミサイルへと走った。クリスは機銃で援護した。 すると、甲板にあった巨大なコンテナが壊れて、中身がこぼれ出た。それは超巨大B.O.W.、オグロマンだった。 「エイダめ、まさかここまで想定して!?」 クリスが機銃で応戦している隙に、ピアーズがミサイルの発射装置を解除した。カウントダウンが止まった。 あとは急いで脱出だ。クリスは甲板のクレーン近くへと機体を寄せて、ピアーズを無事回収した。 ……しかし、その瞬間を狙ったかのように、ミサイルが再起動した。またしても騙された。もう解除は間に合わない。 こうなったらミサイルを破壊するしかない。海や空へとウィルスは拡散してしまうだろうが、街中で炸裂するよりはマシだ。 空母に向けて戦闘機の誘導ミサイルを撃ち込む。……しかし、破壊は失敗。ミサイルは真っ直ぐに陸地へ飛んでいく。 ちょうどそのとき、【FOS】という組織のオペレーターから連絡が入り、DSOのレオンが通信を求めていると言われた。 「レオン、今どこにいる!?」 繋がるや否や、レオンの用件を聞く余裕もなく、クリスは慌てて尋ねた。 「ターチィの街のはずれだが、どうした?」「レオン、急いでそこから逃げろ!!」 だが、遅かった。空母を離れたミサイルは、ターチィ上空へと真っ直ぐに向かい、そこで爆発したのである。 紫色のガスが飛び散り、街中に広がる。……そう、C-ウィルスだ。ターチィの街は、瞬時に地獄へと化した。 その惨状を、レオンの口を通じて聞かされるクリスたち。怒りと責任感とで、街へ向かおうと操縦桿を傾けた。 しかし、その様子を察したレオンに制止された。クリスらに、もっと大切な任務を頼みたい、という。 ネオアンブレラの拠点である海底油田へと拉致された、世界を救う鍵を握る二人を救い出してもらいたい、と。 「一人はシェリー・バーキン。もう一人は、ジェイク・ミューラー。……あのアルバート・ウェスカーの息子だ」 レオンが、衝撃の事実を告げた。クリスは驚き、叫ぶ。 「レオン……。エイダ・ウォンは死んだ」 クリスが、自分の目で見た衝撃の事実を告げ返した。レオンは驚き、言葉を詰まらせた。 情報交換を終えて、通信を切った。 目指すは、海底油田。そこがきっと、最後の戦いの場所となるだろう。 193 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/12/07(金) 06 02 31.32 ID ByUqFtM40 【クリス編】 CHAPTER 5 夜は更けていく。時刻は夜半を回り、暦上では7月1日となった。 クリスとピアーズは戦闘機を操り、海底油田に繋がる海上プラントへと侵入した。 警備は下部に集中しているらしく、上部から下部へと繋がるエレベーターまではあっさりと到達できた。 「皮肉なもんですね」と、エレベーターの中でピアーズは言った。 ジェイクの父親、アルバート・ウェスカーは、バイオテロによって世界を破滅させる陰謀を巡らせた男だ。 しかしその息子は、バイオテロから世界を救う鍵になりえる男として、陰謀に巻き込まれている。 そして、そのジェイクを救い出そうとしているのが、ウェスカーを殺した張本人であるクリス。 それは確かに、皮肉にも思えた。だがクリスは「運命なのかもしれない」と言い換えた。 「……ウェスカーを倒したとき、俺の戦いはいったん終わりを迎えた」 クリスはそう続けた。発端である【洋館事件】以来、12年に渡る因縁は、ウェスカーの死によって終わった。 本当は、クリスが銃を撃ち続けねばならない理由など、もうなくなっているのかもしれない。 「ジェイクの救出が終わったら、俺は銃を置く。これからのことはお前に託す。大丈夫さ、お前ならな」 クリスは、ピアーズにそう伝えた。部下は、頼れる相棒に成長した。ピアーズになら、後を任せられる。 「さて……最後の仕事だ!」 侵入してさっそく、セキュリティルームに到着した。すばやくコンソール操作するクリス。 シェリーとジェイクが監禁されている部屋を発見したので、そのロックを解除しようとする。 が、やはり一筋縄ではいかないようで、警報が鳴ってしまった。解除できたかどうかはわからない。 なんにせよ、直接監禁場所へ行かねばなるまい。研究施設層へ向かう二人。 ピアーズと別行動をとったり合流したり、ジュアヴォと交戦しながら下へ下へと進む。 海底油田は複数ブロックに別れた構造であり、目指す研究施設層へは通路接続の操作が必要らしい。 それには各ブロックごとの気圧の調整など、全自動とはいえ複雑な手順が必要で、その間待たされる。 そして案の定、確実に足止めできるポイントとして、ネオアンブレラはそこに防衛線を用意していた。 「ようこそ侵入者…… あなた方は国連軍かしら? 状況から考えればB.S.A.A.が一番ありえるかしらね」 続々と集まってくる警備部隊と戦っている最中、エイダの音声が響いた。生前に録音したものだろう。 「ミサイルと共に産声を上げるこの世の地獄、その地獄にさらなる破滅をもたらす存在“ハオス”。 ここはハオスが目覚め、解き放たれる場所。ハオスの目覚めとともに私の望んだ世界は幕を開けるのよ」 エイダの音声は狂気的な野望を滔々と語った。エイダの真の狙いは、ここに眠るB.O.W.の解放らしい。 世界各地でのウィルス撒布テロも、あのミサイルすらも、この「ハオス」とやらのための囮に過ぎない。 未知の驚異的B.O.W.の情報をH.Q.に連絡したいが、深い海の底まではさすがの通信衛星も届かない。 クリスとピアーズは二人でこの状況をなんとかするしかない。 研究施設層との接続が完了、防衛部隊と戦っていてもキリがないので、振り切って奥へ進んだ。 すると、既に監禁部屋を脱出していたシェリーらと遭遇。意外とあっさりと合流できた。 「あなたたちが助けてくれたの?」「さすが正義の味方だな」 シェリーが生真面目に二人に礼を言うのに対して、ジェイクは相変わらず斜に構えた台詞を吐いた。 「……よく見れば父親の面影がある」 そのジェイクに対して、クリスはそう言った。 「親父を知っているのか?」「ああ。……俺が殺した」 それを聞き、ジェイクはクリスに銃を向ける。 「撃ちたいなら撃て。君にはその権利がある」 クリスはそれに対して抵抗も見せず、そう言った。 「なぜ親父を殺した? B.S.A.A.としてか? あんた個人として?」 ジェイクが質問した。 「……両方だ」 少しだけ考えて、クリスは正直に答えた。 ジェイクは、クリスに向けた銃を発砲。だが弾丸は、クリスの頬をかすめて、後ろの壁に穴を開けた。 「……こんなことやってる場合じゃねぇんだよ」 ジェイクはそう言った。 「言っとくが、話が終わったわけじゃねぇぞ? お前にはまだ訊くことがヤマのようにあんだよ」 その憎まれ口が、彼なりの精一杯の答えだった。 脱出を目指し、四人で行動することに。ここは、サイロ状(巨大な円筒形)の構造になっており、 そのド真ん中には超巨大なサナギがぶら下がっていた。おそらくは、これが例の【ハオス】だろう。 エレベーターを発見し、上部へと進む。ジュアヴォたちに妨害されるが、四人で共闘し撃退した。 だが問題は、機械が作動し、「ハオス開放」のプロセスが始まってしまっていること。 このサナギが目覚めれば、おそらくは……世界の終わり、であろう。 エレベーターで昇りつつ、サナギに攻撃する四人。だが針でつつくようなもので、効果は見えない。 ついに、サナギが羽化した。中から出てきたのは、ドクロ状の頭部を持ち、全身が透き通った軟体の怪物。 何本か触手を持っており、人型というよりは、クラゲやイカをベースにしたかのように見える。 その巨大な手が、四人を見つけて攻撃してくる。その一撃は足場を簡単に粉砕した。 「お前たちは先に行け! これは専門家の仕事だ」 と、クリスらはジェイクらに逃げるよう促す。 反発して戦おうとするシェリーだが、ジェイクはその手を強引に引いた。 「他にやることがあんだろ!?」というジェイク。そう、彼らの仕事は、生還して世界を救うことだ。 ジェイクらを逃がすための囮となって、クリスとピアーズはハオスをひきつけて走る。 足場はどんどん壊されていくが、なんとか逃げ切って最上部に辿りつき、エレベーターに乗った。 だが、あらゆる障害物をあっさり破壊して突き進んでくる相手から逃げられるわけもなく、追いつかれた。 結局、正面から戦うことになった。手持ちの武器を駆使して攻撃を加える。多少は怯ませることができた。 だが、ハオスが大暴れしたせいで、研究施設層はいたるところから浸水している。脱出せねばならない。 中央層へと、通路を走って戻る。だがまた活動開始したハオスが、通路を壊しながら追いかけてくる。 閉まっていく隔壁に、スライディングで滑り込む。最後の隔壁は、クリスが間に合うまでピアーズが体で押さえた。 なんとか中央棟へ戻れた、と思ったのもつかの間。ハオスが巨大な触手を一振りした。 直撃を受けたピアーズは吹き飛ばされ、壁に衝突。……運悪く、壁の一部が右肩を貫通してしまう。 さらに巨大機械を投げつけるハオス。ピアーズは避けられない。右腕が完全に挟み潰された。 クリスも一撃を受けて昏倒する。ハオスはそれを掴みあげて、締め上げる。握り潰すつもりか。 激痛と出血に朦朧としつつも、ピアーズはあることに気がついた。 ……空母でエイダから回収した、特別製のC-ウィルスの注射器が、懐から落ちて転がっている。 他に、手はない。 ピアーズは、右腕を根元から引きちぎった。這って進み、注射器を拾って…… それを、右肩へと打ち込んだ。 失った右腕が、瞬時に再生された。……ジュアヴォのような、変異した触手状の腕が。 特別製のウィルスの力か、その腕には、電撃のようなビームを放つ能力が備わっているようだ。 クリスの手持ちの銃火器と、ピアーズの右腕の能力とで、ハオスと戦うことになった。 ある種のクラゲは、死亡するとサナギ状になり、また誕生する、不老不死の性質を持つものがいるという。 ハオスもそれに似た性質を持っているのか、いくらかダメージを与えるとサナギ状に変化してしまい、 そこから再誕したときには以前のダメージがまったくなくなっているという、不死身に近い性質があった。 だが、絶対の不死身などありえない。サナギ状のときに攻撃すれば、不完全な状態で復活させられる。 そのときに短時間だが弱点となる臓器が見えるので、ナイフを突き刺してやれば、ダメージになる。 長い戦いの末、ついにハオスが沈黙した。ドロドロと溶けて、黒く濁ったカスになった。 ピアーズに肩を貸すクリス。ピアーズの変異は、まだ右腕だけで済んでいるようだ。若干混濁しているが、意識もある。 クリスはピアーズを励ました。ジェイクの体のウィルス抗体から治療法が見つかれば、助かるはずだ。 それまで、ウィルスに体を乗っ取られないように耐えればいい。そういって、二人で脱出を目指す。 二人は、脱出ポッドのある部屋に辿り着いた。クリスは機械を操作する。ポッドのひとつが開いた。 ピアーズに肩を貸し、ポッドの中に入れようとしたとき…… 不意に、ピアーズがクリスを突き飛ばした。 ポッドの中に転がるクリス。ピアーズは、ポッドに乗らずに外からその扉を閉めた。 「ピアーズ! 何をしている! 開けるんだ! 二人でここを出るんだ! だめだピアーズ! 諦めるんじゃない!」 クリスはそう叫んだ。だが、ピアーズにはわかっていた。ウィルスの侵食は進んでいる。自分はもう助からない。 いや、本当はクリスも気がついていた。既にピアーズの変異は、肩や首を超えて顔の半分まで進んでいたことに。 ポッドが射出された。クリスを乗せて、海の中を進んでいく。ピアーズの姿が、海底油田が、遠くなっていく。 ……ポッドを追いかけるように、油田から巨大な青白いモノが飛び出してきた。……ハオスだ。 だが、特大の電撃が、ハオスを襲った。ピアーズの最期の攻撃だった。彼は最後まで、B.S.A.A.として戦い抜いたのだ。 その直後に、沈んでいくハオスを巻き込んで、海底油田は大爆発を起こした。 ……ポッドが、海に浮かんでいる。東の空は赤く染まっていた。絶望の夜の終わりを告げる朝明けである。 クリスはそれを眺めると、自分の右手に視線を移した。 そこには、B.S.A.A.のワッペン。ピアーズに突き飛ばされたときに、彼の制服の肩から偶然むしりとったものだ。 ほんの2日前には記憶を失って呑んだくれていた自分が復帰できたのも、ピアーズのこのワッペンを見たおかげだ。 恩人であり、大切な相棒である男は、もういない。形見のワッペンを、クリスはぐっと握りしめた。 ……遠くから、迎えのヘリの羽音が聞こえた。 197 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/12/07(金) 06 09 56.77 ID ByUqFtM40 【クリス編】 Ending 日時不明。少し陰鬱な印象を与える曇り空。 東欧の酒場にて、クリスはステーキを食べていた。 そこは、かつて記憶を失った彼が酒に溺れていた酒場だ。そして、ピアーズと再会し、己の道を取り戻した場所。 そのときピアーズはこれと同じステーキを食べていて、なかなかうまいと言っていた。 「隊長、指令です」 クリスを呼ぶ声がした。クリスの部下のひとりだ。 その顔は、ピアーズではない。フィンでも、マルコでもない。他の部下たちでもない。彼らはもう死んだのだ。 だが、彼らの残した希望は、決して死なない。決して死なせはしない。クリスが、B.S.A.A.が戦い続ける限り。 「……わかった。案内してくれ」 クリスは席を立ち、堂々とした足取りで歩み去った。 戦士はまた、戦いに赴く。 その背中に、仲間たちから継いだ遺志を背負って。